オーダー家具製作・注文家具製作、アンティーク家具の修理・修復の「デコラティブアートスタジオ 黒瀧道信」

マホガニー

イギリスのビクトリア女王の時代に作られた移動式の書き物机の役割を果たすボックスの修復です。
ボックスの全てが無垢のマホガニーで作られているため、材木が縮むことによって蓋の上面には割れが見られます。その他にも移動式であることが原因で部材が割れているところが目立っていました。
ボックスを開けるとスロープ状になった書き物をするデスク面はラシャ布が擦り切れていました。また底板に貼られていたラシャ布も同様にダメージを受けていました。
その他にもインク壷を入れるスペースの仕切りが割れていたり、デスク面を本体に固定していたレザー（兆番の働きをしていた）が劣化してちぎれていたり、上と下のボックスをつなぐ真鍮の兆番を固定するネジ穴がゆるくなっていたりと、修復はボックス全体に及びました。
木部の修理には全てマホガニーを使い、フレンチポリッシュを施し、新しいラシャ布を貼り付けて、ボックスのコンディションは劇的に改善しました。元々赤味がかかったピンク色だったマホガニーが、黄色身がかった美しい赤茶色に変化していた色合いをそのまま残すことに成功しました。
この状態で大事に使えば、この先数十年は美しいアンティーク家具としてのコンディションを保ってくれることでしょう。