最近フランスの「エラール」というメーカーが1890年頃製作したウォールナットのピアノを修復しました。ピアノの機械部分はフランスで修復されたのですが、ケース部分は修理無しで日本にやってきてうちで修復する事となりました。
「エラール」のロゴ。驚く事に真鍮とウォールナットの象嵌細工(マーケトリー)で作られています。鍵盤の蓋を開けたところに作りこまれていました。
 
グランドピアノの蓋の部分は色んな物が置かれるので、セラック二スの塗装面はかなり傷んでいました。特に花瓶などを長期間置いておくと、こぼれた水などが塗膜に影響を与えます。
 
一回天板全ての塗装を剥がしてフレンチポリッシュで仕上げました。修復ではほとんど木工機械を使わないので工房は静かです。好きな音楽を聴きながら作業します。
 
鍵盤の蓋にも修理をしました。塗装が完了してから乾燥させて、ぎらつく艶をアンティークらしく見えるように落としていきます。
 
 
 
その他に足元のペダルを取り付けている部分も間違った薄板が貼られていて、塗装もしていなかったので、剥がしてやり直しました。
 
 
新しい薄板を貼って、アンティークに見えるように着色、塗装しました。出来上がりがこれです。
 
別のアングル。このピアノが作られた時からそこにあったように見えるかどうかが重要です。上手くいきました。
 
2枚目の写真の天板についた水の跡も綺麗に消えました。
 
この他にも細かい事を色々やりました。
修復したパーツを全てピアノ本体に再び取り付けて無事完了です。
 
作られてから120年ほど経っていますが、非常にコンディションの良いピアノでした。現在このクオリティーのピアノを作ろうとしたら大変です。材料の確保も難しいし、これだけ手間のかかる方法で作ったら一体売値がいくらになるんだろう?と考えながら
修復しました。修復は大事です。
            
家具修復:2009年11月11日